社長「私が監修者」 斎藤知事「事務所が主体的に」 主張に食い違い

PR会社などへの家宅捜索について、報道陣の質問に答える斎藤元彦・兵庫県知事=神戸市中央区の県庁で2025年2月7日午後1時27分、中尾卓英撮影

兵庫県知事選を巡ってPR会社「メルチュ」社長の女性によるインターネットでの発信が発端となり公職選挙法違反の疑いが指摘された問題は、強制捜査に発展した。社長の発信と斎藤元彦知事側の主張には、大きな隔たりがある。

社長は11月20日、投稿サイト「note」で記事を公開。斎藤氏のプロフィル写真の撮影やポスター製作、SNS運用など選挙戦の舞台裏に言及した。斎藤氏がPR会社を訪問したことから取り組みが始まったとし、SNSについて「私が監修者として、運用戦略立案、アカウントの立ち上げ、プロフィール作成、コンテンツ企画(中略)などを責任を持って行い、信頼できる少数精鋭のチームで協力しながら運用していました」と記載した。

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「広報戦略のご提案」と題し、告示前から投開票日までのSNS運用を「種まき」「育成」「収穫」の3段階で展開する資料も掲載。「(斎藤氏)ご本人は私の提案を真剣に聞いてくださり、広報全般を任せていただくことになりました」としたが、この記述はその後削除された。

PR会社社長の発信と斎藤知事側の主張

記事に関連し、斎藤氏は同25日、選挙戦でのSNS運用について「あくまで斎藤事務所が主体的にやった」と述べ、社長について「ボランティアとして個人で参加されたと認識している」と説明。「公選法に違反するような事実はない」とした。以降、斎藤氏は記者会見などで詳しい経緯を問われても「代理人弁護士に対応を一任している」として言及を避けている。

同27日の記者会見で、斎藤氏の代理人の奥見司弁護士は、公選法で認められているポスターなどの製作費として約70万円を後援会がPR会社に支払ったと明らかにし「公選法で認められている範囲の対価であり、違法性はない」と主張。社長の発信については「事実ではない」と否定した。

斎藤氏は支援者の紹介で9月下旬にPR会社を訪問。社長からポスターデザインの製作やSNSの利用について説明を受けた。後日届いたポスター製作や動画撮影などのプランと見積もりには広報全般やSNS戦略の提案はなく、ポスターやチラシの製作など5項目に絞って依頼したという。

兵庫県知事選とPR会社を巡る経緯

選挙期間中に有償で主体的に広報業務を担った場合、公選法が禁じる買収に当たる恐れがあるが、奥見弁護士は「5項目以外の活動はボランティアの一員として行われたもので、報酬の約束や支払いはなかった」と述べた。

一方、斎藤氏の選挙戦を手伝おうとしていた上原みなみ神戸市議は、知事選前に斎藤陣営の広報担当者から「SNS監修はメルチュにお願いする形になった」との連絡を受けていたと明らかにした。元支援者の男性も陣営広報担当者から同様の連絡があったと証言している。【山田麻未、栗田亨、中尾卓英】

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